ハッピーバースデイ九州パスで行く、九州一周ツアー その1

※重要:Happy Birthday Kyushu Passは、2016年3月限りで廃止、発売終了となりました。代替品として2016年4月から「ぐるっと九州きっぷ」が発売されていますが、最近流行りの「特急券が別途必要」なタイプのフリーきっぷとなっているので、使い勝手は大きく異なります。

はじめに

2013年夏、私はちょっと早めに夏休みを取り、九州に向かいました。
目的は、九州一周。というのも、ある日JR九州がこんなきっぷを
期間限定で発売していることに気づいたからなのです。

Happy Birthday♪Kyushu Pass~ハッピー・バースデイ♪九州パス~

ルールを一部抜粋すると、

  • 誕生日の月の連続する3日間、JR九州全線が乗り降り自由
  • JR九州全線(門司~下関間の山陽本線を含む)のグリーン席・指定席(みずほ・特急あそぼーい!の白いくろちゃんシート除く)が6回。九州新幹線(みずほ含む)・特急列車・普通列車自由席は何回でも乗り降り自由。DXグリーン席も利用可
  • 金額は2万円*1

という、なかなか夢のあるきっぷ*2
ただ、実はこの手のきっぷではJR四国が先行していて、
以前から「バースデイきっぷ」なるものが販売されています*3
こちらは、金額1万円、グリーン・指定の回数制限なし、同額で買えるお連れ様用のきっぷアリ、
とさらに太っ腹。

ともあれ、そんなわけで一路福岡空港に飛ぶところから、旅はスタートしました。

1日目:7月28日 羽田→博多→宮崎

羽田空港→福岡空港

HND 9:10 → FUK 11:00 SFJ45便
というわけで、まずは羽田から福岡へ飛びます。
成田からLCCでもいいかな、とかも考えたのですが、諸々考えた結果羽田→福岡ということに。
今回は、スターフライヤーを初めて使ってみることにしました。黒いアイツ。

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噂に違わぬ革張りの座席で、ちょっとした高級感が。
あと、客室乗務員のおねーさんたちがパンツスーツなのがちょっと新鮮です。

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会社設立10周年記念カップ。
スターフライヤーはコーヒーを頼むとタリーズのコーヒーが出てくるのですが、
森永のチョコレートもセットでついてきました。
大きなトラブルもなく、ほぼ定刻に福岡空港に到着。

博多→別府

博多 11:57 → 別府 13:48 特急ソニック21号
福岡空港についたら、博多まで市営地下鉄で移動します。
福岡空港と博多や天神って、実に近くて移動も楽なのでありがたい。
空港から博多まで2駅5分、天神まで5駅11分、ってとこなので。
博多に着いて、みどりの窓口でハッピーバースデイ九州パスと
今日・明日の分の指定席を確保。
ホントは博多でゆっくりお昼でも食べたいところですが、
あまり時間もなかったので車内で駅弁を買う方針にしました。

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885系「ソニック」。
時刻表に「白いソニックで運転」と書かれている場合には、この列車がやってきます。
そうでない場合は、883系の「青いソニック」。

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この「ソニック」は大分で宮崎方面行きの「にちりん」と接続するダイヤになっているので、
方向幕もこんな表示。
もともと博多-南宮崎・宮崎空港間で運行されていた「にちりん」は、時代の変遷とともに運行区間が短縮。
現在では主に大分-南宮崎・宮崎空港間で運行されるようになり、
博多-大分間はこの「ソニック」が担っています*4
そんな背景があったりするので、博多~宮崎空港間(小倉経由)の特急料金は、
別府駅または大分駅で乗り継ぐ場合、
改札を出なければ通して計算されるという特例が設けられています。

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グリーン車6回まで利用可能なきっぷですから、初っ端からグリーン車です。おきらくごくらく。

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車内販売でお弁当の販売があったので、折尾のかしわめしにしました。
結構ボリュームあって、おなかいっぱい。美味しかったです。

このまま大分まで行って、「にちりん」に乗り換えて宮崎まで向かっても良かったのですが、
別府にちょいと寄り道…ということで途中下車。

別府市内をウロウロ

下調べしている段階で、駅からそう遠くないところに市営の温泉施設がいくつかあることと、
八幡朝見神社という大きめの神社があることがわかっていたので、
神社にお参りの後、ひとっ風呂浴びて宮崎に向かおうという計画。

八幡朝見神社までは、おそらく歩いてみても別府駅から15~20分くらいの距離だったのですが、
まぁ荷物も重いし…ということでタクシーに乗って神社へ。
ほどなく神社に到着する手前の所で、
タクシーの運転手さんが「駐車場のところにきれいな水が湧いてるから、汲んでいくといいよー」
と教えてくれました。
駐車場の所で車を降りると、
なるほどたしかにでっかいポリタンクやらペットボトルやらを持って水を汲む人が何人も。
調べてみるとこれは「萬太郎清水」という名前で、
神社のHPによれば
「いかなる干ばつにも涸れることなく、長雨にも濁らず、常に湧きつづける御神水です。
名前の由来は、不治の病の父親が孝行息子萬太郎が汲んできた朝見の清水を飲むと、
たちまち全快したという伝説によります」ということらしい。
境内には、この萬太郎清水を使ったコーヒーなどを出してくれる
茶房 萬太郎」という喫茶店もありました。寄ってないけども。

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小高い山の上にある神社なので、
ちょっと見晴らしのいいところに行くと駅の方が一望できます。

大分 八幡朝見神社
参拝して、御朱印をいただいてきました。

八幡朝見神社をあとにして、てくてく歩いて別府温泉を味わうことに。
駅の周辺にも市営の温泉施設がいくつかあったので、
その中から「田の湯温泉」をチョイスしました。

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田の湯温泉。いわゆるフツーの銭湯のような感じです。
カウンターのおばちゃんにお金を払って男湯へ。
脱衣所が結構狭くて、浴場と脱衣所を仕切る戸もないので、脱衣所からお風呂が丸見え。。。
行ったときはたまたま、自分以外にお客さんはいなかったのですが。
身体を洗って、お風呂へザブーン。

熱っっ!!

メチャメチャ熱かった。。。
「適温:42度」とかって張り紙がしてありましたが、絶対42度以上あったと思う…。
水を足しつつ、ちょうどいい感じの温度にさせてもらって、
サッパリと汗を流してきました。

温泉から駅へと向かう道すがら、
スーパーマーケットを見つけたので入ってみました。
旅先に行くと、スーパーマーケットはちょっと気になるのです。
地元でしか売ってないアイテムが気になっちゃう。
よく見るのは、牛乳の棚と醤油の棚です。
どっちも、地域によって特色ありまくり。
関東に住んでるとまず見かけないものが結構ございます。

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というわけで、牛乳と醤油。
醤油はさすがに買わないのですが、牛乳は買って飲んじゃいます。
お風呂上がりに牛乳をグイッといったところで、別府から大分へ移動。
さらに南を目指します。

大分→宮崎

大分 16:05 → 宮崎 19:23 特急にちりん19号
こちら、今回の旅の(個人的な)目玉商品の一つ。
大分から宮崎へ向かう特急はだいたい1時間に1本ペースで出ているのですが、
このうち787系6両で運転される3往復には、
グリーン車に「DXグリーン席」なる設備がついています。

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787系。かつては特急「つばめ」として博多-西鹿児島(現在の鹿児島中央)を結び、
九州新幹線が部分開業してからは「リレーつばめ」として博多-新八代を結び、
九州新幹線が全線開業してからは九州各地で活躍しています。

で、その「DXグリーン席」というのはこちら。
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パッと見、ちょっと豪華な椅子といった感じです。
この椅子を手すりに付いているボタンでフルリクライニングさせると…

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…こうなります。最大角度は141度だそうで。
その昔、JRの夜行バスでプレミアムシートってのに乗ったことがありますが、
それに近い感覚。もはや寝るしかない感じです。
もともと6席分あったスペースを潰して3席配置したので、前後は広々としています。

DXグリーンという名前にこの座席だけあって、
グリーン料金も通常のグリーン車よりさらに上乗せ。
でも今回のハッピーバースデイ九州パスなら、
普通に追加料金ナシで乗れてしまうのがありがたい…!

ちなみに、どの列車にDXグリーンが付いているかは時刻表を見てみると一目瞭然で、
備考に「DXグリーンがあります」と明記されています*5

そんなわけで、列車は一路宮崎へ。
途中、佐伯を過ぎたあたりから山が深ーくなっていきます。
大分と宮崎の県境には「宗太郎峠」という険しい峠があって、
列車はこの峠を越えていきます。ひたすらトンネル。
峠の区間で乗降客が少ないからなのか、
峠越えの区間にあたる佐伯-延岡間の普通列車は1日3往復しかありません*6
特急は1時間に1本はあるので、全く列車が走らないというわけではないですが、
18きっぷユーザーにとっては鬼門となる区間です。

宗太郎峠を越えて、宮崎県側に入ってしばらくしたあたりで、
こんな光景が目に入ってきました。

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高架の上にソーラーパネルがズラリ…何だこれは…?
この高架は何なのか?わざわざソーラーパネルを置くために設置した?
色々と謎が尽きないので、周辺の地図を見てみました。

たしかに、地図上日豊本線の東側にもう一本線路のようなものが見える。
しかしソーラーパネルが敷き詰めてあっては、とても鉄道が走る感じはしない。
それにしても一直線に伸びているこの高架、昔は何か別の用途で使っていたのでは…?
…などと考えながら地図を少し上にスクロールしてみると、

「鉄道総合技術研究所 浮上式鉄道 宮崎実験センター」という文字が…!
そう、この高架はかつてリニアの実験線だったようなのです。
Wikipediaを見てみると、たしかに現在は太陽光発電所として機能しているという記述が。

2011年2月から国際航業グループが実験線の軌道上方に太陽電池パネルを並べることでメガソーラー太陽光発電所として利用している。「都農第1発電所」は検証用に作られた太陽光発電所で太陽電池パネル442枚、総出力50kW。3種類の太陽電池パネルを使いそれぞれの発電効率を調べた。その結果を基に、CIS系(カルコパイライト系)太陽電池を採用した太陽電池パネル12,520枚、総出力1,000kWとなるメガソーラー「都農第2発電所」が作られた。都農町側の3.6kmを用いた世界でも稀な細長いメガソーラーとなっている。
リニア実験線 – Wikipedia

そんなこんなで、大分から3時間あまりかけて、宮崎駅に到着しました。
列車に乗っていた時間だけ考えても、博多から5時間半といったところでしょうか。
九州は広い。

駅前のホテルを予約していたので、ホテルにひとまず荷物を置いて晩ご飯。
お目当てのお店がいっぱいで入れなかったので、
駅ビルの1階にある「炎の舞 らくい」というお店にしてみました。

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鶏もものたたき、鶏わさ、アーンド焼酎。
一人だとちょっとお高めだけど、肉は柔らかくて美味しかったです。

そういえば、駅で地元の高校生たちが喋る方言を聴きながら、
お、宮崎の人はホントに「てげ」って言うんだ…とか思ったのはよい思い出。
旅先で地元の人たちの方言を聞くと、
あぁ、旅に出てるんだなぁ…っていう感じになります。

というわけで、1日目はここまで。
つづく。


  1. 2013年当時の金額です。2014年4月の消費税増税によって金額が変わりました。現在は20,570円 []
  2. その昔存在した「九州グリーン豪遊券」のリバイバル版、という感じもする。 []
  3. 2011年の夏に、コレで四国一周しました。 []
  4. 一部、「にちりんシーガイア」という博多-宮崎空港間直通の列車もあります。 []
  5. 紙の時刻表でも、同様の記載があります。 []
  6. 2013年8月現在 []