スルッとKANSAI 3Dayチケットを使いまくる旅 その2

8月最終週にちょっと遅めの夏休みを取って、スルッとKANSAI 3Dayチケットを使って関西方面を旅行してきた。その旅行記というか備忘録というか、まとめ。2日目は金剛峯寺と壇上伽藍へ。

旅行2日目

朝のお勤めと、朝ご飯

寺の朝は早い。チェックインのときに渡された案内によれば、朝5時50分から勤行があるのでご自由にご参加ください、との由。せっかく宿坊に泊まってるのに参加しない手はないな、ということで朝から本堂へ。夏とはいえ、朝6時前の山の上は、さすがに半袖だと結構寒い。何か羽織るものがあればよかったと思う。

おそらく宿泊者の多くが参加してたと思う。外国から来た人も含めて。読経を聴き、焼香をし、法話を聴き、本尊に手を合わせ、でトータル1時間ちょいくらいだろうか。写経したものを納めてる人もいた。7時過ぎに勤行が終わり、そのまま大広間での朝食へ。

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昨日の夜に比べれば、さすがにシンプル。とはいえ白飯がたんまりあるので、結局まぁまぁお腹いっぱいになるんだけど。朝ごはんを食べてしばしのんびりし、チェックアウト。

金剛峯寺

前日は奥の院にお参りしてきたので、今日は高野山のもう一つのメインスポット、金剛峯寺と壇上伽藍へ。

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金剛峯寺の正門をくぐり、中へ入る。門のところには、左に五三の桐・右に三頭右巴の寺紋が描かれた提灯がぶら下がっている。ところで、この「金剛峯寺」という名前、もともとは高野山全体を指す名称だったという。金剛峯寺のHPにも、以下のような記載がある。

総本山金剛峯寺という場合、金剛峯寺だけではなく高野山全体を指します。

普通、お寺といえば一つの建造物を思い浮かべ、その敷地内を境内といいますが、高野山は「一山境内地」と称し、高野山の至る所がお寺の境内地であり、高野山全体がお寺なのです。

「では、本堂はどこ?」という疑問がわいてくるでしょう。高野山の本堂は、大伽藍にそびえる「金堂」が一山の総本堂になります。高野山の重要行事のほとんどは、この金堂にて執り行われます。

山内に点在するお寺は、塔頭寺院(たっちゅうじいん)といいます。お大師さまの徳を慕い、高野山全体を大寺(だいじ 総本山金剛峯寺)に見立て、山内に建てられた小院のことです。現在では117ヶ寺が存在し、そのうち52ヶ寺は宿坊として、高野山を訪れる参詣者へ宿を提供しています。

総本山金剛峯寺とは | 高野山真言宗 総本山金剛峯寺

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門をくぐると大きな玄関があるが、ここは大玄関。天皇・皇族や高野山重職だけが出入りを許されるという。一般の参拝者は、写真でいうと右奥のほうに設けられている入口から入ることになる。中に入ってしばらく歩くと、いくつもの部屋のなかに施された、綺麗な襖絵の数々を見ることができる。まるで襖絵の美術館のようだ。肝心の襖絵は撮影禁止だったので写真はないけど。

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さらに進んでいくと、大きな石庭が広がってくる。これが蟠龍庭で、広さは2,340平方メートルあり、国内最大級の広さを誇る。写真の真ん中に写っているのが奥殿(いわゆる貴賓室)で、蟠龍庭は雲海の中で左右に雌雄一対の龍が向かい合い、奥殿を守っているように表現されているのだそうだ。

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金剛峯寺では、参拝の途中にお茶の接待をいただくことができる(無料で)。お茶とお菓子を受け取って通された先が、でっかい大広間。ここが休憩所になっていて、時間によっては僧侶による法話も行われるという。このお菓子が一味変わっていて、お煎餅かと思ったらそうではなく、焼き麩に和三盆糖で味をつけた、ちょっと甘みのある煎餅風のお菓子。サクッと柔らかくて、口に入れるとフワッと溶ける。売店でも販売してた。

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こちらは台所。なんか、こういうところの台所が見られるのって、割と新鮮な気がする。最初の写真にある3つの釜は1つで約七斗(98キログラム)のご飯を炊くことができ、3つ使うと一度に二石(約2,000人分)のご飯を炊けるんだとか。昭和50年代まで、年末の餅つきの際に使われていたらしい。3枚目の写真にあるかまどは、今でも重要行事の際には使われているとのこと。

写経体験

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金剛峯寺をあとにして、次は壇上伽藍へ向かうのだが、その前に高野山大師教会本部を訪れた。こちらでは、写経体験と菩薩十善戒の授戒を受けることができる。時間の関係で今回は写経体験だけ。

大師教会の売店で写経したい旨を告げると、裏からお坊さんが出てきて写経室へ案内してくれた。ここではまず塗香*1をし、その後に写経用紙と筆ペンを渡されて席に案内された。席は椅子の席も正座する席も両方あって、お好みで選んでOKらしい。正式には墨をするところから始めるんだろうけど、それやってるとホントに時間がいくらあっても足りないので、筆ペンでもいいかなぁ、って感じ。

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下にお手本があるので、それをなぞるような感じで写すんだけど、いかんせん筆ペンでこんなにたくさんの文字(300字くらいある)を書くことが普段ないものだから、手が結構疲れる…力加減も難しいし。

ちなみに、300字なんてそんなに時間かからないんじゃないかな…と侮ってはいけない。1時間はかからなかったけど、40~50分はかかったように思う。人によっては1時間半くらいかかる人もいるとか。なので、写経体験をスケジュールに入れる場合は少し余裕見ておいたほうがいいと思う。宿坊で晩ご飯の後とかに写経体験させてくれるところもあるようなので、その辺は宿に一度相談してみてもいいかもしれない。

書き終わったら下の売店に持っていく。すると「奉納されますか?それともお持ちになりますか?」と訊かれる。奉納せずに紙を持ち帰る場合は用紙代として100円、奥の院に奉納して頂く場合は奉納代を含め1,000円を納める。奥の院にまだ行ってなかったら、持ち帰りにして自分で奥の院へ持って行って奉納しても良かったんだけど、今回はこちらで奉納をお願いした。

壇上伽藍

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壇上伽藍にやってきた。ここは根本大塔をはじめとして東塔、金堂、西塔、御影堂など数多くの堂塔が立ち並んでいる。なかでもひときわ目を引くのが根本大塔だ。上の写真の一番奥に見えるのが根本大塔で、高さは約48mあるという多宝塔。実際に行ってみると、付近の他の建物と比べてみてもずいぶん大きく感じる。元々は西暦800年代に建立されたが、落雷等による火災で何度も焼失しており、現在の大塔は1937年に再建されたものだそうだ。

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人の大きさと比較すると、その大きさが分かるかもしれない。大塔の中には中央にこれまたでっかい胎蔵大日如来像、その四方に金剛界四仏が安置されていて、塔内の柱などに描かれた仏画は、日本画家・堂本印象の筆によるものである。

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中門。2015年に、高野山開創1200年を記念して、焼失から172年ぶりに再建された。中門再建にかかる作業の様子がまとめられたサイトがあったので、リンク貼っておく。

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持国天と多聞天は172年前の火災を免れ、救い出されたものだという。

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広目天と増長天は今回新たに仏師・松本明慶の手によって制作され、これで四天王が揃い踏みすることになった。

セミとトンボ?

今回新たに制作された広目天と増長天には、胸にそれぞれセミとトンボのブローチがついている。たしかに、現地でもお寺の方に「あのセミとトンボはどういう意味なのでしょうか…?」と尋ねている人を何人か見かけた気がする。自分も、見かけた時「なんだろうこれは…なにか意味があるんだろうけど…?」と思ったけど、調べてみるとこういうことらしい。

広目天は胸元に「蝉」のブローチを付けています。これは、蝉が音を遠くへ届ける生物であることから、【威嚇】の姿勢を表現しています。また増長天は胸元に「とんぼ」のブローチを付けています。これはとんぼがまっすぐ前に飛ぶ生物であることから、【後ろにしりぞかない】という姿勢を表現しています。四天王の持ち物には決まりがありますが、ブローチのような着衣や装飾に決まりは無く、仏師独自の想いが込められています。

特別公開・イベント|高野山開創1200年特設サイト

四天王の持ち物には決まりがあるが、ブローチのような着衣や装飾に決まりはない、というのがなんか意外な感じがする。ある程度決まってるのかと(勝手に)思ってた…。

そんなわけで、この後はおみやげを買ったりしつつ高野山を後にして、次の目的地に向かった。長くなってきたので、続きは次のエントリーで。


  1. 手のひらに粉のお香をすりこんで、身を清める []